ノスフェラトゥ

Here Be Monsters

NOSFERATU

 「ノスフェラトゥ」。最も醜悪なるもの。化け物の中の化け物。隠れ潜むもの。
 彼らは見る者を時には狂気に追いやるほどの醜悪な容貌を持つ怪異なヴァンパイアたちです。それゆえに同族から疎まれ、何千年もの歴史の中で特異な地下社会を築き上げました。彼らはヴァンパイアの持つ悲劇性を最も端的な形で持ち合わせた「呪われたもの」たちです。あるいは彼らこそが最も高貴なるヴァンパイアなのかもしれません。


最も呪われしものの伝説

The Legend of the Most Damned

 なにゆえかくも醜いヴァンパイアが生まれたのか?

 多くの不死の研究者たちがその謎に迫ろうとし、影から伸びる刃によって滅びてきました。ノスフェラトゥは自己を語ること少ない氏族です。彼らの歴史は何にも増して伝説と歴史の闇の中に没し、その真相は定かではありません。しかし、ここではひとりのノスフェラトゥの語り部が語った物語を手がかりに、「醜悪なるもの」たちの起源と歴史について一瞥を加えようと思います。

 氏族の始祖…名をノスフェラトゥあるいはノスフェラート…は、石器時代の狩人でした。氷河期も醒めやらぬ時代、彼はサーベルタイガーを狩ることのできる勇猛な戦士だったのです。ある夜、彼は狩りに出るところを、ひとりの女性に尾行されました。彼女はカインの娘チラでした。ノスフェラトゥを今にも襲おうとした彼女は、月光に照らされた彼の容貌を垣間見て立ちすくみました。

 それはこの世のものとも思えぬ美貌の青年だったのです。

 娘は、彼がサーベルタイガーと戦う様を見つめました。類い希なる美貌と獅子にも匹敵する強靱さ。彼女はすっかり見惚れ、自分に飢えが迫っていることすら忘れました。それが悲惨な結果を招いたのです。飢えが迫り、我知らず逆上したカインの娘は、狂乱の中であやまって若者を殺してしまいました。正気に戻った後、彼女は自らの行いを悔やみ、この狩人を〈抱擁〉したのです。

 ヴァンパイアとなったノスフェラトゥは、その力を存分に楽しみました。しかし、ノスフェラトゥは自分の血親である娘を憎みました。骨の髄まで戦士だった彼は、自分に唯一傷をつけた彼女を打ち倒さねば気が済まなかったのです。悶々とした日々の続く中、彼はある晩、同じくカインの孫であるツィミーシィが、自分の子らを血で呪縛するさまをのぞき見ました。彼はすぐさまこれをまねし、カインやカインの子らのわからぬところで自分の酷薄な子らを創り出し、呪縛しました。

 こうして準備を整えたノスフェラトゥは、一計を案じました。
 自らの肉体をわざとひどく傷つけ、祖父カインのもとへ現れたのです。孫の惨状に驚いたカインは、ノスフェラトゥが僻遠の南方で怖ろしい狼のような怪物に襲われたと語る話をすっかり信じ、三人の子と十三人の孫を残して復讐のために都を出立したのです。
 ノスフェラトゥは計画を実行に移しました。自ら鍛えた隠身の力でカインに化けて十二人の兄妹たちに近づき、彼らを不意打ちしたのです。この蛮行に驚いた彼らはちりぢりになって密林へと逃げ去りました。それから、ノスフェラトゥは彼らをひとりひとり見つけだし、三人の第二世代が狂ってしまったという話を吹き込みました。そして、十三人が力を合わせて彼らから統治権を奪い取ろうとささやきました。とうとう、十二人の兄妹たちは彼の話に乗ったのです。

 こうして、第二世代は待ち伏せされ、殺戮されました。ノスフェラトゥは自分の血親の顔をめちゃめちゃに引き裂き、積年の鬱憤を晴らしました。ところが、恍惚の中でこの惨殺を終えた彼は、象の一撃にも比すべき恐ろしい力で殴り倒されました。帰還したカインがそこに立っていました。

 引き裂かれた血塗れの死骸が転がる光景を見、ノスフェラトゥの顔に残るかすかな傷を見たカインはすべてを理解しました。そしてカインは雷鳴のような声で彼に呪いをかけたのです。

「汝はおのれの犯しうる最大の罪を犯した。汝は獣を統べる力を誇っていたな。では余は汝を獣のごとくしてやろう。汝は自らの容姿を誇っていたな。では余は汝からそれを取り上げてやろう」

 カインがノスフェラトゥの顔に触れると、その顔は始祖の激怒をそのまま映しだし、世にも醜いものへと変貌しました。この世でノスフェラトゥほど醜いものはないほどまでに。それからカインはこう申し渡しました。

「汝は子を創ったな。余はかの者どもをも呪おう。世の終わりに至るまで、汝の血脈はすべて汝がごとくなるのだ」

 しかし、子のうちたったひとりだけはノスフェラトゥの〈血の呪縛〉を逃れていました。川の中で水浴びの最中に〈抱擁〉を受けた美しい女性。彼女もまたカインの呪いを受けたのですが、現在まで続くノスフェラトゥ氏族はすべて彼女の血筋に属しているのです。

 ノスフェラトゥは恥ずかしさと怒りのあまり、叫び声をあげながら暗く深い洞窟へと逃げ込みました。そして以来、彼は時の終わりまでそこに隠れていると伝えられています。〈血の呪縛〉を受けたノスフェラトゥの子らは、血親の罪をすべて受け継ぎ、「ニクトゥーク」と呼ばれる邪悪な呪わしい存在になりはてました。

 ノスフェラトゥは、今でもニクトゥークに悪夢を送り続け、ノスフェラトゥ氏族全体を呪っていると言われています。いつか彼が目覚めたとき、彼はその狂気のうちにカインに許しを請う生け贄として、氏族全体を滅ぼすだろうと言われています。そして、ニクトゥークはそんな始祖の狂気を受け、ノスフェラトゥの「私生児」たちを全滅させようと画策しているのです。

ニクトゥーク The Nictuku

 始祖ノスフェラトゥの子らであるニクトゥーク。ノスフェラトゥたちは彼らの実在を信じています。その恐るべき逸話は地下の奥底で数千年にわたって語り継がれてきました。
 しかし、ニクトゥークが実際にどのような者たちなのかははっきりとはわかっていません。わずかに伝えられる名は五人。

 “霧の王”アブラクセス   “人喰婆”バーバ・ヤーガ
 “皮無き者”ナックラヴィー “闇に叫ぶ女”ゴルゴー
 “汚濁の女王”エキドナ

 ニクトゥークはそれぞれ独特の特徴を持っており、真の意味での化け物です。
 彼らは氏族・ノスフェラトゥを「私生児」であると見なし、それを全滅させることで、始祖ノスフェラトゥの呪いは解け、自分たちもまた解放されると信じて殺戮を行っていると伝えられています。ニクトゥークの伝説は、ノスフェラトゥたち以外にはまったく知られていません。
 ノスフェラトゥたちがかくも地下を好むのは、ニクトゥークへの恐怖からです。彼らは闇の中から音もなく襲ってくると言われており、それゆえにノスフェラトゥたちは偏執的に情報を集めるのです。攻撃を避ける方法は絶え間ない見張りしかありません。


呪わしき〈抱擁〉

Dreadful Change

 ノスフェラトゥに〈抱擁〉されることは大変な苦痛を伴う災いです。肉体は最も大切な自己の一部であるがゆえにそこへの損傷は人を最悪の狂気へ追いやりかねないのです。

 〈抱擁〉後、完全なヴァンパイアと化すまではおよそ一週間かかります。一日目、犠牲者の肉体は死後硬直を起こし、内臓は萎縮します。二日目から四日目にかけて、皮膚が萎縮し、死後硬直によるひきつれは破れて肉が見えだします。髪はばらばらとすべて堕ちてしまい、耳や鼻は腐り落ちます。一週間経つころには、苦痛は耐え難いものとなり、骨がねじまがり、人間らしい姿はすべて失われてしまいます。最後に、頭部の骨自体が変形し、ところどころ尖った世にも怖ろしいノスフェラトゥの顔へと変貌していきます。

 この変容を正気を保ったまま生き延びることのできる者はほんの少数です。ほとんどは気が狂い、掟に基づいて、即座に血親によって滅ぼされてしまいます。

 こうした変貌と人間からの隔絶に耐えられるのは、奇妙なことかもしれませんが、生前にアウトサイダーやドロップアウトとして苛酷な人生を送ってきた者たちです。ノスフェラトゥはヴァンパイア社会でのはぐれ者です。彼らにとってそうした状況はそれほど異質なものではないのです。ですから、ノスフェラトゥたちは自分と境遇の似ているこうした社会の敗残者たちを好んで仲間に引き入れようとします。

 その一方で、ノスフェラトゥは〈抱擁〉が人間にとって呪いとなることをよく知悉しているので、美貌を鼻にかけたり、貧民を酷薄に扱うような人間をあえて〈抱擁〉することもあります。こうした者たちは変容の最中に狂ってしまうことがほとんどですが、生き残ってしまった者も失われた過去を嘆きながら永遠に生きていかねばならなくなるのです。


醜きものの共同体

Unity of Monsters

 ノスフェラトゥは、都市の地下に広大なネットワーク社会を構築していることで有名です。その規模がどれほどのもので、どんな構造なのかを知る者は、部外者にはまずいません。そして、この社会はノスフェラトゥの一枚岩の団結によって保たれているのです。

 ヴェントルーやトレメールは自分たちの団結を誇ります。しかし利権と野心に裏打ちされた彼らの団結は非常に脆いガラス細工のようなものです。しかし、ノスフェラトゥの団結は違います。その醜さゆえに社会からの脱落者としての連帯感が、彼らを強固に結びつけているのです。自分たち以外に誰が自分を真に理解し、共感してくれるというのでしょうか?
 また、ニクトゥークがどこかにいる以上、氏族内で内輪もめをしている場合ではありません。ノスフェラトゥのエルダーたちにとっては「ゲヘナ」とは夢物語ではないのです。

 ノスフェラトゥの社会で最も敬意を集めるのは、長く生き延びてきた者です。これは他の氏族とは違った意味を持ちます。ノスフェラトゥとしての不死の生は苦痛に満ちたものです。それを長く生きてきたということは、若い氏族メンバーにとってはそれだけで尊敬に値することなのです。このため、この氏族の長老たちは若者を脅迫したり強圧したりせずとも統治することができます。年老いたノスフェラトゥは敬うべき賢者として丁重に遇され、彼らもまた若者に喜んでアドバイスを与えています。

 こうした社会を持っている以上、ノスフェラトゥはカマリリャやサバトといった組織に懐疑の視線を向けています。カマリリャ所属のノスフェラトゥとサバト所属のノスフェラトゥが手を取り合うのも珍しいことではありません。

 ノスフェラトゥの社会は、細かく分けられた小集団を単位としています。同じ都市に住む者は同じ集団に属し、来訪者はおおよそ快く受け入れられます。氏族全体の決定がなされることはめったになく、ほとんどの事項はこの集団内で相談され、決定が下されます。
 処罰もめったに起こりません。カマリリャ所属の者は掟に基づいて処断することもありますが、サバト所属の者はまず同胞を罰したりはしないのです。もし重大な問題を起こしたノスフェラトゥがいたなら、単に氏族から追放されるだけです。それは非常に効果的です。氏族の他には誰も彼を受け入れてはくれないでしょうから。


食餌

Terrible Temptation

 ノスフェラトゥにとって最大の問題のひとつが食餌です。彼らの姿はどんなに豪胆な人間ですら悲鳴をあげて逃げ出すようなものですから、他のヴァンパイアのようにはいきません。
 そこで、ノスフェラトゥは複数で分担作業を行い、場所を特定して近隣の氏族メンバー皆で食餌を行います。

 まず、ダウンタウンの下層街の一角を「共同食堂」に定め、『獣心』Animalismの「平穏の唄」Song of Serenityすなわち「獣の抑制」Quell the Beastに通じたノスフェラトゥが、このパワーを使って裏路地からホームレスや乞食たちを引き寄せます。それから、他のノスフェラトゥたちが地下から出てきて、この呪歌によって平和な陶酔状態になった人間たちの血を吸います。事が終わったら、『支配』Dominateに通じたノスフェラトゥがそこに居合わせた人間たちから記憶を消去します。これで一件落着です。
 ホームレスたちはその場所がいい気分になる場所だと思って、頻繁に訪れるようになるでしょう。そうなればもう心配はいりません。誰にも悟られずに存分に食餌が行えるようになります。

 人口の多くない田舎に住むノスフェラトゥは、一般に眠っている人の家に深夜に忍び込んで血を吸います。また、倒錯したノスフェラトゥの中には女子供だけを好んで襲う者がいます。こうした者たちが「ブギーマン」の怪談として伝えられるようになったと言われています。


夜の諜報

Nightly Espionage

 ヴァンパイア社会の中で、ノスフェラトゥは一流の情報収集能力で知られています。昔から、ハンカチで鼻と口を押さえながら、不死の君主たちはこの醜悪な同族からの情報提供を受けてきたのです。

 ノスフェラトゥがかくも情報に長けているのには理由がいくつもあります。まず、前述した氏族の強固な団結です。カマリリャとサバトとの間にすら情報交換がなされるのですから。ニクトゥークの投げかける暗い脅威に比べれば、派閥同士の争いなど何ほどのことでもありません。

 そのニクトゥークの脅威も情報を積極的に集めようとする理由です。もし一体でもニクトゥークが都市にやってくれば、そこにいるノスフェラトゥ全員が死んでしまうだろうからです。

 そしてもうひとつ、退屈さも理由に挙げられるでしょう。ノスフェラトゥは他のヴァンパイアたちよりもはるかに手が空いているのが普通なのですから。彼らはパーティーも開きませんし、人間とも関わりませんし、うっとうしい政治陰謀劇にも関わりを持とうとはしません。ヴェントルーのように夜じゅうかけて餌食の種類を選り好みなどしません(野良犬で十分です!)。また、氏族以外では仲間を作ることにもおっくうです。

 情報を集める最良の手段は、単純に見聞きすることです。身を隠すすべに長けているノスフェラトゥですから、これは意外に簡単です。また、氏族内の集会では、情報交換と記憶を確かめるためにストーリーテリング大会が開かれます。これはひとりがある話をし始めると、それに関連した情報を持つ者がそれを引き継いで話していくというものです。これは楽しみの少ないノスフェラトゥの生活の中でも一番喜ばれる娯楽でもあります。

 ノスフェラトゥは動物の使役にも長けていますから、動物を支配して偵察に向かわせることも頻繁に行います。この目的で使われる動物は、都市の荒れた一角に良く棲む害獣たち、ドブネズミや野良猫、野良犬、長虫や害虫です。ギャンレルと違うのは、彼らは動物を純粋な道具として見ていることです。この点でギャンレルとノスフェラトゥはお互いを嫌っています。

 高度情報化時代に入ってからのノスフェラトゥは、自分の正体を明かさずに情報をやりとりできるコンピュータ通信に大変熟達しました。彼らは独自のBBSを開設し、遠隔地にいる同族とも連絡を取り合うようになったのです。いわゆるインターネットの世界的な広がりの背後には、あるいは彼らの手が働いているのかもしれません。


地下帝国

Unseen Empire

 ヴェントルーがガラスと鋼の摩天楼を選び、トレアドールがフレスコ画が描かれ、魔物像が四隅を飾るゴシック調の建物を好むように、ノスフェラトゥは人間が刳り抜いた地下に闇の王国を建設して暮らしています。

 ゴシック・パンク世界のほとんどの都市には、広大な地下エリアが街路の下に張り巡らされています。ノスフェラトゥは数百年もかけて他のヴァンパイアが知らない間に、こうしたエリアを整備してきました。古いヨーロッパの都市ならばローマ帝国時代の地下墓地や霊廟が網の目のように走っていることすらあります。こうした地下墓地は、実はノスフェラトゥが意図的に作らせたものがほとんどなのです。彼らは秘密教団を組織し、帝国の弾圧から逃れさせる名目で地下に寺院を作らせました。現在でも、特にパリやイタリアでは、こうした地下空間は長老たちの住まう場所として利用されているのです。

 ノスフェラトゥは、市議会や産業界にいるグールを駆使して「都市再開発」の名の下に、自分たちの地下帝国の空間を広げ続けています。地下鉄の拡張、下水道の整備、地下ショッピング街の設置。いずれも彼らにとって有益な事業ばかりです。

 都市の様相は、年々様変わりします。家並みは建て変わり、景観は次々と変貌を遂げていきます。しかしその地下は案外手をつけられなかったり、どれだけの規模があるかを誰も把握していなかったりするものです。

 こうした中に、ノスフェラトゥの隠れ家が建設されます。

 彼らは秘密の小部屋や回廊を「整備用空間」などの名目で建設させ、そこから自分の隠れ家や氏族の集会場に通じるエリアを伸ばしていくのです。下水道は重要な通路ですし、戦争中に作られた防空壕もほとんどの人が省みませんから、ノスフェラトゥの隠れ家には打ってつけです。

 他の氏族の者たちは、地下に足を踏み入れようとしません。彼らにとってはそこは異世界であり、できれば眼を向けたくないところなのです。公子たちも「第三の掟」をうるさくがなり立てることはノスフェラトゥに関してはないのが普通です。真っ暗な迷路の中に隠れている者たちをどうしていちいち数えたりできるでしょうか?

落とし子の池 The Spawning Pool

 ノスフェラトゥは、セキュリティ設備として「落とし子の池」というものを作ることがあります。これは水を溜めた池を作り、そこに自分たちの血を落とし込んでおいたものです。ここで水飲みをした地下の動物たちは、自動的にそのノスフェラトゥのグールになるという仕掛です。グールとなった動物達は巨大化・狂暴化し、しばしば都市伝説の原因にもなっています。こうした動物たちから報せを受けることで、自分の隠れ家に近づく侵入者をノスフェラトゥはいち早く知ることができるわけです。また、こうしてグールにした動物たちは、情報収集にも一役かってくれるでしょう。


さらに深く

Horrors Below

 ノスフェラトゥは地下に棲むものです。しかし、地下は都市開発や発掘作業などで掘り返されることもあります。また、重大な危険が迫ったために隠れ家を出なければならないこともあります。ノスフェラトゥたちは、次なる隠れ家を見つけて旅立たねばなりません。都市の中であれば、まだ都市計画の波が及ばない廃墟の区画を見つけることもできますが、そうでない場合は、もっと深く掘り進むか、あるいは野外のどこかに隠れ棲まねばならないこともあります。

 こうした過程で、ノスフェラトゥは太古の遺跡や遺物を偶然発見してしまうこともあります。それが恐るべき結果を招来することすらあるのです。地下にはまだ未知の謎が数多く眠っています。ニクトゥークにやられたと思われている失踪者の中にも、何か得たいの知れないものを掘り出してしまい、それの餌食になったものもいるかもしれません。

 たとえ、どれほど隠れようと、それは一時の宿り場にすぎないかもしれないことを、ノスフェラトゥは肝に銘じて置かねばならないのです。

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