【サーターの農場】
絵/ぴろき
長館は長方形をした母屋である。よく見られる長館の大きさは奥行きが12〜30m、幅が4〜12mくらいである(イラストの長館は比較的小さめ)。三角形の藁葺き屋根が縦二列に並んだ柱によって支えられており、四方の壁は土や編み枝、または漆喰などでつくられている。中は一部をのぞいて土間になっており、板塀の間仕切りをはさんで牛小屋が長館の半分を占めている。
ひとつしかない部屋の中央には暖房や調理に使う長方形の囲炉裏が掘られている。煮炊きに使う鍋は屋根の梁からぶら下げられた長い鎖につるされる。排気は屋根にあけられた穴を通して行われる。
両側の壁沿いには長椅子が並べられており、なめした毛皮や敷物がしかれている。長椅子は蓋が開けられるようになっており、中には寝具がおさめられていて、夜になると寝台としての役目もはたす。
壁は明るい色に彩色され、神話の一場面を描いた織物をはじめ、先祖伝来の武具や戦利品などがいろいろとかけられている。柱には螺旋や渦巻き形をした模様が刻み込まれている。
長方形の食卓は食事のとき以外にはとりはずされており、その他にはめだった家具は置かれていない。衣服や調理器具といった生活用品は隅に置かれた長櫃や長椅子の中にまとめて収納される。
長館は伝統的に南北に長く建てられる。部屋の北端には祖霊に捧げられた祭壇があり、先祖をかたどった小像がいくつも置かれている。同じように反対側の南端には、炉の女神マホーメイをはじめとする家を守る神々に捧げられた祭壇がある。
畜舎を兼ねている納屋は、長館に次いで大きな建物である。ここには毎日の農作業に使う牛犁をはじめとする農機具も納められている。暖気を共有するために長館と一体化していることも多い(このイラストではそうなっている)。
この中には麦をはじめとする冬を越すための食糧が貯蔵されている。
農場の男たちがいろいろな生活用品を作る小屋。特に神聖視されている作業小屋である。
編み枝でつくられた屋外便所。並以下の農場だと便所がまったくない場合もめずらしくない。
農場の建物を取り囲むようにして、厳しい寒気や外敵をふせぐために板塀や石壁が設けられている。たびたび襲撃にさらされるような大きな農場の場合、塀に加えて空堀が掘られていることもある。
農場の人々が属している氏族の旗である。